当事務所の提供する個人のお客様向けの業務の一部をご案内します。
ここでは、高齢者を取り巻く法制等についてご説明します。
1 成年後見制度について
成年後見制度とは、判断能力が十分でない方を保護するため、家庭裁判所によって成年後見人を選任してもらう制度です。
成年後見人は、本人(成年被後見人)に代わって法律行為を行ったり、本人自ら行った法律行為を取り消したりすることができます(ただし、日常行為に関する行為を除く)。
この制度を利用することによって、判断能力が十分でないまま本人が行った契約(例:高額な布団の売買契約)を成年後見人が取り消すことができるようになります。また、意思表示を行えない本人に代わって、成年後見人が施設への入所契約を行うこともできます。
なお、本人の判断能力の程度に応じて、保佐、補助という制度もあります。
申立てにかかる裁判所への費用は、10万円前後です。申立てから後見人選任までの期間は、通常、2~3か月程度です。
また、本人、親族による申立てが困難な場合、行政による申立ても可能です。
2 高齢者虐待について
高齢者に対する虐待は、身体的虐待・心理的虐待・経済的虐待・ネグレクト(養護放棄)など様々な類型があります。
多くの虐待は外部からは発見しづらい一方で、日常的に繰り返されること、高齢者の尊厳が損なわれるケースが多いことから、被害はより深刻であるといえます。
また、高齢者の身近な者による虐待であることが多いことも問題解決を困難にしているといえます。
平成18年4月には、高齢者虐待防止法が施行され、高齢者虐待防止に関する行政や国民の責務が定められました。我々弁護士にも、高齢者虐待の早期発見努力義務が定められました(第5条)。
高齢者虐待は、関係福祉機関とも連携して、解決する必要があります。
3 遺言
遺言には、自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言があり、それぞれに要件、長所、短所があります。
亡くなった後の相続に関する紛争を防止するためには、きちんとした遺言を遺すことは大切です。
子供たちは、自分の遺志を分かってくれるだろうと思って遺言を遺さない方もいますが、相続に関する紛争の多くは、被相続人がその遺志をはっきり示しておかないことが原因となっています。
また、遺言を遺したとしても、相続に関する争いの中で「それは被相続人の真の遺志ではない。」との主張が出ることも多く、遺言を作成するときには、その作成方法にも問題を残さないことが重要です。遺言については、遺言の項目をご覧下さい。
4 悪徳業者について
残念ながら、高齢者をターゲットとした悪徳業者は後を絶ちません。
布団、呉服、住宅のリフォームなどを不当な金額で販売するために、彼らは、高齢者に甘い言葉をかけ、または不安に陥れる等、様々な手法を用います。
まずは、このような業者の罠にかからないようにすることが先決ですが、もし業者との間で不当な売買を行ってしまった場合は、すぐに周囲の方に相談することが重要です。また、周囲の方も、高齢者が何かを隠しているなど様子がおかしいときには、注意深く話を聞くなどの対応が必要です。
これらの売買に対しては、消費者契約法、特定商取引法、割賦販売法、民法等を使って、クーリング・オフや契約無効・取消し等を主張することができます。
これらの消費者契約については、消費者の項目をご覧下さい。
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